むち打ちとバレ・リュー症候群

最近、交通事故の患者様から「頭痛がするので、これはバレ・リュー症候群ですか」と質問されたことがありました。一般的に知られている傷病名ではないので、患者様から聞いたところによると、法律家専門家のホームページに詳しい解説がなされているのだそうです。

バレ・リュー症候群とは

バレ・リュー症候群とは、簡単に言えば、交通事故でむち打ち動作に遭い、それが原因となって起こったと考えられる自律神経失調症状のことです。頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴りや疲労感などの症状がそれに当たります。そして、それらの症状には星状神経節ブロック注射が効果的であると言われています。

むち打ちと頭痛

交通事故で通院なさる方々で最も多い症状は、いわゆるむち打ち動作による首の痛みですが、むちうち動作で頸部を痛めた場合、頭痛や肩、腕の痛みを同時に訴える患者様が少なくありません。

しかし、そもそもむち打ちで頸部を損傷した場合、痛みを感じる部位は首だけでなく、肩・腕に痛みを感じる他、頭痛が起こるのも頸椎捻挫の特徴であり、頭痛=自律神経失調症状と捉えるのは早計ではないかと感じます。

もちろん、交通事故の態様は様々ですので、自律神経失調症状による頭痛が皆無であるとは言えませんが、頭痛=バレ・リュー症候群という図式が成り立つ訳でもありません。

星状神経節ブロックだけだはありません

たとえば、首の後ろには大後頭神経(GON)が走っており、その神経が刺激されると頭痛や吐き気、ふらつき、目の奥の痛みを起こすと言われています。むち打ちにより頭痛を訴えられる患者様の中にも、この大後頭神経をブロックする注射によって痛みが治まった患者様もいらっしゃいます(ただし、このブロック注射では、数日で再び痛みが発生することも多い)。

むち打ちの痛みの根本とは

むち打ちによる痛みの根本は、むち打ち動作による衝撃が原因で椎間関節が安定性を失い、グラグラしてゴミを出し続けることによって炎症が起こるからなのです。椎間関節が安定すれば、ゴミは出なくなり、痛みは治まるという至極単純なメカニズムなのですが、法律家の方々のウェブサイトでは、むち打ちに関連してMRIの画像所見や神経根など難解なテーマが議論されているものが見受けられました。

もちろん医学的な研鑽を積んで掲載していらっしゃるものと思いますが、やはり身体のことは専門家である医師に診断を求められるのが一番安心できるでしょう。

むち打ちについて解説しているページが他にもございます。