むち打ちで痛みが生じるメカニズム

むち打ちで痛むのは首ばかりではありません。

  • 交通事故で追突され首が痛むのは何故?
  • 数日経って痛み出すのはどうしてなの?
  • 首だけじゃなく、肩も痛いんだけど。

むち打ちは「頸椎捻挫」と呼ばれるとおり、基本的には「首の捻挫」と理解できます。ですので、痛みが生じるメカニズムも足を捻挫した時と同じように痛みが生じます。
スポーツ中に足首をひねって、その時は痛まなくても、夜中に痛みがひどくなったり、数日して痛み出したという経験をなされた方もいらっしゃるでしょう。
むち打ちでも同じように、即座に痛みが発生することなく、数日経って痛み出す場合が少なくありません。このページでは、まず、一般的な炎症のメカニズムについて検討し、その後にむち打ちでの痛みについて考えてみましょう。

炎症のメカニズム

たとえば靱帯を損傷すると、布をちぎった際に細かな繊維がパラパラ落ちるのと同じように、細かな組織が散らばります。それはいわば体内のゴミとなります。ゴミは放っておくとたまる一方になりますので、身体はそれを掃除しようとします。掃除係は主に白血球で、身体は白血球を損傷部位に集めて掃除を開始します。これが炎症反応の始まりです。

白血球は損傷部位に集まってはきますが、血管内にあります。しかし、掃除すべきゴミは血管の外側にありますので、身体は、血管を拡張させて、白血球を外に出すための通り道を一時的に作り出します。その時、白血球だけなく、キニン、ブラジキニンといった、痛み物質(発痛物質)を一緒に外へ出します。炎症を起こした際に痛みを感じるのは、この発痛物質を一緒に出しているからなのです。

痛み物質が一緒に出て行く理由

炎症が起こると、まず、血管が拡張するので患部が赤くなります。そして痛み物質が出ているので疼痛が起こります。さらに、痛み物質や白血球が血管から漏出されるので、患部が腫れます(腫脹)。この「発赤」「疼痛」「腫脹」は炎症の三兆候と呼ばれています。この「疼痛」というのは、身体のメカニズムの素晴らしい特徴であると言えます。というのも、患部は本来動かさずに安静を保つべきですが、サインがないと分かりません。ですので、わざわざ白血球と一緒に痛み物質を出して身体にサインを送っているのです。

驚くべき身体のメカニズム

少し話はそれますが、ダイエット後に起こるリバウンドも、身体の本来的な調整機能と言えるでしょう。短期間でダイエットをすると、当然身体の状態は大きく変わります。ですので、身体自身が、体重を減量前の状態に戻そうとするのです。ですので、ダイエットを行う時は、短期間に体重を減らそうとせず、無理のないように減量していく必要があるんですね。

むち打ちの痛みは?

頸椎X線画像むち打ちでも、炎症のメカニズムは基本的に同じです。しかし、むち打ちで主に損傷を受ける椎間関節は、足首のように身体の表面近くではなく奥にあるため、身体は敏感に痛みを感じることができません。ですので、サインを送り、また首を守るために肩や腕、時に頭に痛みが広がり、首に近い肩は筋肉を固くして首を固定しようともします。その他、背中が痛んだりすることもありますが、それは背中を痛めているからではなく、首の損傷に起因していることが多いのです。

より適切な治療を行っていくために

このように、むち打ちでは首が痛むだけでなく、周辺も痛むことが少なくありません。整形外科を受診なさる場合、経験豊富な医師であれば上手に問診してくれるとは思いますが、問診時にどの部分が痛むのか、しびれるのか、違和感があるのかと言ったことを、もらさずしっかり伝えておかれると良いでしょう。

むち打ちについて解説しているページが他にもございます。